屋号に掲げる「焼きあご塩らー麺」。
いちから作り上げた創業者の髙橋の味を、料理長の山口が更に進化させました。今回は、山口料理長と髙橋代表に開発について聞きました。
まずは、スープの改良について教えてください。
山口 「今回の取り組みは、焼きあごの旨味や風味を一番しっかり感じてもらえるにはどうしたらいいのかというところがポイントでした。「焼きあご塩らー麺」の特徴は焼きあごのダシの旨さと、一口目から感じられるインパクトの強さです。スープと香味油のバランスがマッチするとことで最大限表現されるので、そこを目指しました」
具体的には?
山口 「詳細には明かせない部分もあるのですが(笑)、スープの配合を変えました。インパクトをしっかり感じてもらうようにすると乳化のためににごってしまって、魚の味が出なくなります。しかし、たかはしの塩らー麺はどちらも必要なので、インパクトをしっかりと持たせつつ、魚の味が出るように配合の調整を試行錯誤しました。」
どこが進化した?
山口「とにかく、全体のバランスです。魚(焼きあご)の味がしっかり感じられるのに、インパクトもしっかりある。焼きあごの”焼き”の部分のビターさもありながら、塩らー麺としてちゃんとまとまっている。スープ自体が弱いと、苦みやえぐみが出てしまうのが魚のスープの難しいところです。今回の改良では、すべての調和がとれるいい状態に仕上げました。
スープの温度管理もこだわっているとか?
山口「はい。たかはしのスープはスープを炊く時の温度管理が二段階あります。温度によって抽出効果が変わるので、電子温度計を使って、数値で管理をしています。兵庫県と香港という離れた場所にある店舗でも、スープの味が作る人によってブレないように研修に行ったり、定期訪問によるチェックをしています。」
スープづくりは繊細なんですね。
山口「もちろん、スープは炊く作業も繊細ですが、品質の維持というのも大変です。炊き立ての風味や香りが感じられるように各店舗でスープチラーを使用してスープを管理しています。」
(↑スープチラー↑)
山口料理長へのインタビューでは、山口料理長のこだわりが細部にいきわたっているのが伝わってきました。
次に今回のスープの改良の意図するところを髙橋代表に聞きました。
今回の開発のきっかけは?
髙橋「創業当時から変わらないのは「焼きあごの美味しさ・文化」をもっと広げたい、という想いです。しかし、一方で焼きあごの文化の広がりで高まる需要に供給体制が追い付かなくなるという課題が見えてきました。そこで、2022年から東京大学で焼きあごの製造技術の研究を行い、2023年には特許の出願をしました。焼きあごの原料のトビウオは、脂ののった成魚は不向きとされ、焼きあごの需要が拡大すると未成魚が乱獲されるという危惧がありました。しかし現在、特許出願中の製造技術を用いることで、成魚でも評価の高いものを生産することがかなうようになりました。」
「たかはし」独自の焼きあご、ですね。
髙橋「はい、焼きあごを製造するためのグループ会社を設立し、約1年ほど前から焼きあごの生産をしています。実際に、たかはしのらー麺には、そこで作った焼きあごが使われています。」
「らー麺」のために、焼きあごから作っているのは驚きですね。
髙橋「焼きあごの未来のために、ここまで真剣に取り組んでいる会社はないと思います。」
こだわりの「焼きあご」について教えてください。
髙橋「一般的に焼きあごはクリアで上品なイメージですが、当社の焼きあごは、力強い素材感、複雑さ、余韻の持続性が特徴です。たかはしの看板「焼きあご塩らー麺」が最終商品となることを前提とし、商品から遡って理想の焼きあごを作ったら、このような特徴になりました。」
最後に一言お願いします。
髙橋「今後は、日本海側のトビウオ成魚を主な原料として使用していく方針です。
トビウオ生原料の鮮度管理を出発点に、加工、調理を経て一杯のらー麺が完成するまで、一貫して本物を追求し続ける、焼きあご専門ブランドを引き続き目指します。」